こにちは すずき です。
たまには小説の話なども書いてみようと思います。
「極大射程」という引退したスナイパーを主人公にした冒険小説です。
作者はスティーブン・ハンター。
原題は「POINT OF IMPACT」と言います。
CONTENTS
極大射程 POINT OF IMPACT
主人公はボブ・リー・スワガーと言う退役した元海兵隊所属の一等軍曹。
ベトナム戦争で目覚ましい戦果を挙げたスナイパーです。
後に「ボブ・リー・スワガー・サーガ」と呼ばれる一大叙事小説に発展していく物語の記念すべき第一作目です。
「Shooter」という原題で映画化もされました。
主演はマーク・ウォルバーグ。
正直いって、原作のイメージからするとマーク・ウォルバーグというのはちょっと違うんじゃないかと僕は思いますが、そのたりはまた後ほど。
簡単にあらすじなど
主人公ボブ・リー・スワガーはヴェトナム戦争で超人的な活躍をした元米国海兵隊所属のスナイパー。
ヴェトナム戦争における公式確認戦果(殺害数)は87名、ただし、ボブ自身が認識する実際の殺害数は341名。
現在は除隊しライフルだけを友とし山奥で一人隠遁生活を送っている。
そんなボブのもとに精密加工を施した新開発の308口径弾を試射してもらいたいという依頼が舞い込む。
銃弾への興味から引き受け、1400ヤードという長距離射撃に成功するボブだが、それは大きな陰謀への入り口だった・・・。
とまあ大体こんな感じで物語が始まります。
日本人にとってはライフルの長距離射撃などあまり馴染みはありません。
実際にどうやって射撃がなされるかも、殆どの人にとってはまったくわかりません。
映画や小説、又はゲームなどで目にするか想像するかですが、この辺りの描写はやっぱり実際に銃社会において経験する人間にしかかけない物があると思います。
作者のスティーブン・ハンターは多分、銃オタクですね。
間違いありません。
鉄板。
ボブの射撃シーンははっきりと面白いです。
人を撃つという事はこの先まず僕の人生にはありません。
ライフルを撃つこともまずないでしょう。
ところがこの小説の中では一人のスナイパーになり、陰謀に立ち向かう、そんな気分にさせてくれる迫真性がこの小説にはあります。
僕もボブのようにリズミカルにそして機械のように正確にライフルを扱えるようになりたいと思わせるアクションシーンは秀逸です。
また、これいくらなんでも無理でしょうという絶体絶命の状況から、何度も、タフに、そしてしたたかに生き抜いていく主人公やその仲間の南部の男たちのカッコよさや、巧妙に仕組まれた陰謀とその裏にある真実、数々の複線があり、ラストシーンに向けて一つにまとまっていくプロットは素晴らしいの一言。
爽快なラストシーンまで文庫本の上下巻、900ページを一気読みしてしまう事は間違いありませんね。僕は一気読み。
登場人物
登場人物がとても魅力的です。
色々な意味で。
ボブ・リー・スワガー
主人公。
元米国海兵隊一等軍曹。
ヴェトナム戦争において数々の射撃ミッションを成功させた伝説的スナイパー。
友軍からは「ボブ・ザ・ネイラー(Bob the Nailer)」、敵である北ヴェトナム軍からは「クァン・トイ(釘打ち師=ネイラー)」と呼ばれ恐れられた。
相棒の観測手ダニー・フェンとたった二人のチーム「シエラ・ブラボー・フォー」で北ヴェトナム軍1個大隊を食い止めるという超人的な活躍を見せた。
ダニー・フェン
ヴェトナム戦争時のボブの観測手。
ジュリー・フェン
ダニーの妻。ボブを助けたことから複雑な陰謀に巻き込まれる。
ニック・メンフィス
FBI捜査官であり、元狙撃手。狙撃に失敗した過去があり、複雑な問題を抱える。好漢であり本作では大きなカギとなる人物。
サム・ヴィンセント
アーカンソー州の元検事。頑固者の81歳。
ボブの数少ない友人。
カール・ヒッチコック
ヴェトナム戦争でボブを上回る公式確認戦果(殺害数)93名を誇る狙撃手。実在の人物カルロス・ハスコックがモデル(ボブ・リー・スワガーのモデルでもある)。
スーザン・プリース
ボブの元妻。
「ボブ・リー・スワガーは狙った獲物を絶対にはずさない」と言って、ある意味一番最初に陰謀を見抜いた人物。
映画にもなりました
先ほども書きましたが映画化もされています。
細かいところでいろいろ違うところはありますが、概ね原作に沿って映画化されているのではないでしょうか?
ただ時間的な制約もあるからでしょうが、往々にして映画になった時には原作の魅力が伝わリ切らない部分も多いもの。
小説の中にあった長距離射撃の奥深さや魅力、難しさやワクワク感と言うのは正直ありません。
どちらかといえばアクション映画。
中でも残念だなと思うのはニック・メンフィスの魅力が全く描かれていないところ。
そしてボブのイメージも僕にはちょっとしっくりこない。
マーク・ウォルバーグも悪くないけど、イメージとしてはやっぱりクリント・イーストウッドかな、僕的には。
それもキャラハン刑事(ダーティーハリー)ではなく、「許されざる者」あたりの頃のちょっと歳とったイーストウッドのイメージ。ちょっと歳とり過ぎかもしれないけど?
まあ、いまさら言っても仕方がないわけですが。
少なくともブルース・ウィルスとかでなくてよかった…。
色々ありますが、映画としても十分に楽しめます。
でも映画を観た後、是非とも原作を読んでいただきたい。
おわりに
ボブ・リー・スワガーを主人公にしたこの小説はこの後、ボブ・リー・スワガー三部作と呼ばれる作品を経て、ボブの父親である、アール・リー・スワガーを主人公としたやはり三部作へ。
あいだにボブの兄弟などの話をはさみながら、またボブを主人公とした物語となり現在進行中と、壮大な叙事小説(サーガ)へと発展を遂げます。
それだけこの第一作目が好評だったという事でしょう。
なお、この作品、当初は新潮社からの出版でしたが、いまは扶桑社から出版されています。
僕自身この記事を書いていて思ったんですが、訳者が違うんですね。訳者の違いによる作品の違いを読み込んでみるのも面白いかも。
僕が読んだのは佐藤和彦氏が訳した新潮社のほう。
扶桑社から出版されているのは染田屋 茂 氏。
読んでみよっと(え、マジで?)。
おしまい