こんにちは すずき です。
さて、気に入ったものがなければ作ればいいじゃないかと簡単に考えて無謀にも完全独学で手作りレザークラフトの世界に飛び込んだわけですが・・・。
その後、構想期間に入り1年が過ぎようかという頃、
「はぁ…私の携帯ケースはいつできるやら・・・お父さんにも困ったもんだよ・・・」
と娘に言われ・・・
「ああ、そう、ついでに私のもね」
と妻に脅され・・・。
「作りゃいいんだろ! 作りゃあよお!!、こちとら構想一年じゃあ・・!」
とは言ってみたものの・・・
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色々と考えすぎて頭の中で堂々巡りしちゃうことっていっぱいありますよね。
iphoneケースなんか作ったことないんだからそりゃあ色々悩むよねって言っても1年は長いか…。
(仕方なく)まずは図面を起こします。
出来たものがこれです。
iphone CASEさいわいぼくは職業柄CADがつかえるので、ここは得意分野。
ちなみにマス目は4㎜幅で描いてあります。
何故4㎜かというと、僕の持っている菱目打ち(革を縫う為の穴をあける道具)が4㎜ピッチだから。
あくまで僕が勝手に考えたので間違ってるかもしれませんが、僕はまず縫い目を基準に大きさを考えます。
設計と言う作業を進めるうえで、最終的に組み立てやすくするための基準寸法をモジュールと言います。
日本の伝統的な建築では多くの場合910㎜が基準になっていることが多いです。
説明すると長くなるので割愛しますが、僕が革で何か製作するときの基本的なモジュールは菱目打ちのピッチから4㎜としているわけです。
大体必要な大きさを設定したら、まず4の倍数で大きさを決め、そこに縫い代を3㎜ずつ足して図面を描きます。
そうすると縫い目が最後だけちょっと合わないという困ったことになりづらいからです。
図面ができたらまずはこの段階でカットし、ホチキスでとめて完成形に組み立てます。
この工程は面倒かもしれないけれど、とても大事。
そこで具合の悪いところがあれば図面を修正していくわけです。
やらないとホントにちょっとした不具合があとで大問題になってまともに使えなかったり…。
革は厚みがあるのでその辺りのサイズ感がとても難しいのです。
大体いいかというところまできたら、図面をカットして型紙にします。
最初は内ポケットにフラップをつけるつもりだったり、ストラップをつけるハトメを付ける為の補強をしようかと考えていたりで、実は図面とはちょっとだけ違うのですが、まあ、大体こんな感じ。
型紙ができたら、カットしたものを革にあてて革をカットしていきます。
銀ペンと言う便利なペンがあるようですが僕は持っていませんので、目打ちの先で薄く革に印をつけてカットします。
型紙を紙に貼り付けてカットする方法もあるようですが、僕は良いやり方がよくわからないので目打ちで直接革の上に線を描いちゃいます。
手書きで図面を描くようなものなので僕には苦になりませんが、失敗すると革に傷がついちゃうのであまりお勧めは致しません。
カットしたものはこちら。
ブルーの革が表面。
ブラックが内側になります。
色を変えたのはブルーのほうが高いから・・・。
製作に当たり奥さんに「何色がいい?因みに娘は赤にした。」
というと「じゃあ、ブルー。」といったからですが、赤や黒やブラウン系は端切れやらなんやら割と手に入りやすいのですが、ブルーは無いんだよ、このやろう・・・。
仕方なく革界のポルシェと僕が呼んでいる「栃木レザー」のサドルレザーの限定カラー、「ジャスティスブルー」の2㎜厚をネットで購入。
栃木レザー サドルレザー 2.0㎜
税込、送料込みで1,500円位。
ケチケチすんなと言う値段ではありますが、原価としては高い。
ちなみに初号機(娘の5S用)に使用したのは同じ「栃木レザー」ですが、たまたま近所のお店で端切れが安く手に入ったので2.5㎜厚の表側と1.5㎜の裏側とオプションのストラップ込で450円(150円×3)也でした。
カットしたら色々と処理を施します。
レザークラフトは多分この辺りの処理が上手な人と僕のようなど素人の大きな差なんだろうなあと思います。
まずは床(トコ)処理という工程。
ようは革の裏面で接着をしないところの毛羽立ちを薬品で綺麗に処理していきます。
使うのはトコノールという薬品。
SEIWA トコノール レザークラフト用 床面・コバ仕上剤 120g 無色 SWA31505
これを処理を施すところに塗ってガラスの板でこすると綺麗にツルツルになります。
見た目だけでなく使い勝手にも影響するのでしっかりやっておきます。
但しこの処理を施すとあとでボンドでくっつけるときにボンドの効きが悪くなるので接着面にはぬらないようにします。
僕はメンディングテープというテープでマスキングしてしまいます。
でもってトコノールを塗っていきます。
ぼくはヘラを使いますが別に指で塗っても大丈夫です。
本来はガラスの板でならしていくんですが、僕は持っていないので、厚手のガラスのコップの裏で代用しています。
乾くとツルっとして毛羽立ちが無くなっていい感じに仕上がるんですが、写真を撮り忘れました・・・ww
革は布と違って厚いし頑丈です。塗っていく工程を間違えると後から修正するのは大変なので、順序を間違えないように作業を進めます。
最初に本体に縫い付けていく部分などは先にコバ面の処理を施しておかないと後からだと上手にできません。
コバ面の処理にも先ほどと同じトコノールを使用します。
薬剤を塗ってスリッカーと言う道具でひたすら磨くわけです。
切ったばかりの部品はこんなですが。
カット面にトコノールを塗ってスリッカーで磨くと綺麗につるつるになっていきます。
わっはっは、あんまりよくわかりませんね。
でも実物はもっとわかり易く綺麗になっているのです。
組み立てる前に必要なボタンやら何やらをつけます。
写真のようにあらかじめ穴をあけておいて、専用の打ち具で取付します。
この打ち具だけは適当な道具を買うと絶対に綺麗に行かないのでよいものを購入しましょう。
SEIWAやクラフト社あたりのものがお奨め。
細かな部品が揃ってきたら、本体に縫い付けていくわけですが、その前にまずは接着剤でくっつけます。
接着剤はぼくはサイビノール、いわゆる白ボンドと呼ばれるものを使います。
初期接着力はありませんが多少ずれても修正が聴きます。
ゴムボンド使う人も多いです。
接着面両方に塗って、ある程度かわいてきたところで圧着します。
ある程度乾かしてってとこがポイントです。
初期接着力があり、時間節約になりますが、調整が効きづらいのとはみ出して表面にくっついちゃうとやっかいなので僕はあまり使いません。
穴あけするときにパーツがずれてしまうとうまく仕上がりません。
これはフラップの部分。
表側はこんな感じ。
本体に付けるボタン部分の接着。
さてここまで来たらあと少し、いよいよ縫い付けに入っていきますが、長くなりましたので・・・
ここから先は次回。
中々手間がかかるiphone CASE。
プロって凄いなあって自分で作ると思います。
勿論道具も制作環境も全く違うんだろうけど(勿論技能も)、こんなもの1日に何個も作っちゃうってホント凄い。
ぼくは大体ひとつ作り上げるのに2日位はかかります(休憩含む)。
嫌らしい話ですが、2日かけて作ったとして、売値が例えば5,000円じゃやってられませんもん。
コンビニでバイトしたほうがまし。
作るスピードもだけど、何より質がねー…。
つづく