こんにちは すずき です。
僕が小学校の低学年のころ(もう何十年も前のことですが…)、赤鉛筆の代わりにダーマトグラフの赤を持ってきた子がいて、クラスで流行ったことがありました。
発色が独特で、なにより芯を削らなくても紐をブチって一メモリ分引っ張ってクルクルやると新しい芯が出てくるなんて画期的。
とっても便利だと思って、僕もほしかったんですけど、我が家では伝統的赤鉛筆しか買ってもらうことができませんでした。
ぼくの中ではつい最近までダーマトグラフって便利な赤鉛筆って認識でした。
当時僕はダーマトグラフなんて言葉を知りませんでした。
一度だけダーマトグラフの赤を買ってもらったことがあったのですが、芯をクルクルやるのが楽しくてあっという間に使い切ってしまい、二度と買ってもらうことはありませんでした。
しばらくすると便利な赤鉛筆にはどうもほかの色もあるようだという事に気が付きましたが、便利な赤鉛筆が便利な色鉛筆に認識が変わったくらいのことでした。
「赤鉛筆が売れたから違う色も出したんだな」くらいに思っていたのでした。
ダーマトグラフって実は長い歴史のある商品だと知ったのはつい最近。
「ダーマトグラフ」というのは三菱鉛筆の登録商標で一般的にはグリースペンシルと言うそうです。
芯にワックスを多く含んでだ色鉛筆で、ガラスや陶器にも書くことができ、芯が柔らかいため傷がつきやすいものに書いても痛めることなく、そもそも人間の皮膚に書くことができる医療用の筆記具としてヨーロッパで使われていたんだそうです。
ダーマトグラフ(DERMATOGRAPH)はギリシャ語で「DERMATO」が「皮膚」「GRAPH」は「書く、記録する」だそうです。
小学校の隣にあった文房具屋で売ってる新商品の赤鉛筆だと思っていた僕の認識は完全に間違っていたようです。
ダーマトグラフの前身が日本で商品化されたのは1910年代。
その後初代のダーマトグラフが1937年に発売されたようですが、そのころのダーマトは油分を多く含んだ芯が温度変化で収縮したり膨張したりして木軸から抜けたり、木軸自体を割ってしまったりしたそうです。
そこで考え出されたのが収縮膨張に強い紙の軸というわけで、紐をプチって一メモリだけ引っ張ってクルクルするのにも意味があったわけですね。
しかし、僕が思っていたよりもずっと昔から存在していた商品だったんだな。
何故、小学校の隣の文房具屋さんに赤だけが一本売りされていたのか…今となっては謎。
芯が柔らかく書くものを傷つけないため、またアナログ音声が記録されたオープンリールテープを手切り編集する際の目印を描くのにつかわれたり、写真フィルムの整理や、指示を描くのにつかわれていたようです。
なるほどね。
写真を撮るのが仕事の妻がよく知っていたわけだ。
ヌメッとしていて、クレヨンみたいな独特の書き味がありますよね。
小さな字を書くには適していないように思いますが、絵を描くには独特のかすれ具合が使い方によってはいい味になって使えます。
白もあるので、これが便利。
色鉛筆よりものりがいいので、ハイライト部分を描くのにとても便利。
蛍光ペン代わりに使う人もいますね。
確かに蛍光ペンよりはるかに味があるかも。
最近は水性のダーマトグラフなんていうのもあります。
そんなわけで、色々と間違った認識をしていてごめんなさい、ダーマトさん。
医療の現場でのご活躍とは…便利な赤鉛筆だなんて言ってすいませんでした。
おしまい